乳がんについて

あなたも乳がんになる可能性があります
数字で乳がんを知ろう

女性がなりやすいがん
女性がなりやすいがん参考:(c) 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん罹患数の順位(2018年)
死亡率が多いがん
死亡率が多いがん参考:(c) 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター 部位別年齢階級別がん死亡率(2019年)
日本人の乳がん死亡率
日本人の乳がん死亡率参考:(c) 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター 乳がん死亡率(2019年)
日本人女性の乳がん発生率
日本人女性の乳がん発生率参考:ピンクリボンフェスティバル運営委員会事務局 「最新がん統計」生涯で乳がんに罹患する確率は9人に1人&「最新人口動態統計」公表
乳がん罹患率ピーク
乳がん罹患率ピーク参考:(c) 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター 年齢階級別罹患率【乳房 2018年】参考:(c) 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター 全国がん罹患データ(2016年~2018年)
乳がん患者数
乳がん患者数参考:(c) 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター 全国推計値:がん罹患データ(1975年~2015年)参考:(c) 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター 全国がん罹患データ(2016年~2018年)
早期発見90%以上治る
早期発見で90%以上が治る参考:(c) 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん種別統計情報 乳房 生存率
乳がん生存率
乳がん生存率参考:(c) 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター 地域がん登録によるがん生存率データ(1993年~2011年診断例)(5年生存率)参考:(c) 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター 地域がん登録によるがん生存率データ(2002年~2006年追跡例)(10年生存率、サバイバー生存率)
年間死亡人数
年間死亡人数参考:(c) 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター 全国がん死亡データ(1958年~2019年)
日本の乳がん検診受診率
日本の乳がん検診受診率参考:公益財団法人 がん研究振興財団 がんの統計2021 がん検診受診率参考:The OECD OECD Health Data 2019

(監修:ココカラウィメンズクリニック院長 伊藤加奈子)

そもそも乳がんってどんな病気?

乳がんは乳腺(母乳をつくるところ)に発生する悪性腫瘍です。
他のがん同様に細胞の遺伝子異常の蓄積によって発生することが分かっています。
また、発生・進行ともにエストロゲン(女性ホルモン)が深く関わっていることが乳がんの特徴です。

乳がんに気づく症状は?

乳がんに気づく症状は

早期の乳がんでは自覚症状はほとんどありません。
進行とともに乳房のしこりを筆頭に以下の症状が現れます。
これらの症状にどれか一つでも気づいたら、自己判断で終わらせずに、
専門医(乳腺外科)に相談して必要な検査を受けることが大切です。

  • しこりに触れる
  • 特定の箇所だけ硬い
  • 乳頭からの分泌がある
  • 乳頭のえくぼがある
  • 皮膚の変化がある
  • 乳頭の痛みがある
  • 乳頭や乳輪部のただれがある
  • 乳頭の変化がある
  • わきの下の腫れやしこりがある

乳がんのできやすい部位

乳がんのできやすい部位

左右の乳房とも上部外側に最もがんができやすく、続いて上部内側、中央部、下部外側、下部内側の順になります。
左右の差では左の乳房の方が、がんができやすい傾向にあります。

乳がんが増加した理由は?

乳がんが増加した理由は?

ここ30年、乳がんは急激な増加がみられます。
その理由は、食生活の欧米化や女性の社会進出などライフスタイルの変化が関係していると考えられています。

乳がんの原因ははっきりと解明されていませんが、エストロゲン(女性ホルモン)が乳がんのがん細胞を増殖させることは分かっています。

近年、日本人の食生活は欧米化に伴い、高タンパク・高脂肪の食事が増えて体格が良くなった結果、初潮が早く閉経は遅い人が増えました。
さらに、女性の社会進出が増えたことで、妊娠・出産を経験する人が減少、もしくは妊娠・出産を経験する年齢が上がり、女性が生涯に経験する月経の回数が多くなりました。
自然の月経周期の中でエストロゲンが多量に分泌されるため、この月経の回数が増えたことで、乳がんの発生と進行に影響を及ぼしている可能性があると考えられています。

乳がんになりやすい要因は?

乳がんになりやすい要因

これまでの研究で乳がんになりやすい人に共通する要因がわかってきました。
乳がんの発生には、遺伝的要因と環境的要因があります。
以下の項目に当てはまる内容が多いからといって必ず乳がんになるというわけではありません。
また、逆に当てはまる項目がないからといって絶対に大丈夫とはいえません。
当てはまる項目が多い方は、積極的に検診を受けるようにしましょう。
血縁のある身内に一人でも乳がんになった方がいる場合は、そうでない方より定期的に乳がん検診を受けるようにしましょう。

  • 年齢40歳以上
  • 授乳経験がない
  • 出産経験がない
  • 初産が30歳以上
  • 閉経年齢が55歳以降
  • 肥満(閉経後)
  • 良性の乳腺疾患(特に増殖性、異型を伴うものになったことがある)
  • 家族(特に母・姉妹)に乳がんになった人がいる
  • 乳がんになったことがある

若年性乳がんって??

近年、10代~30代で乳がんを発症する人が年々増えてきています。
この若い世代で発症する乳がんのことを「若年性乳がん」と言います。
一般的に34歳以下を若年性乳がんと呼ぶことが多いのですが、妊娠・出産・育児などの生活スタイルから40代でも若年性乳がんとしてとらえられることもあります。

若年性乳がんの特徴は?

マンモグラフィ検診など乳がん検診の対象は40歳以上が多いため40歳未満の女性が無症状で検査を受ける機会は少なく、
若年性乳がんの多くは患者さん自身がしこりに気がついたり、乳頭からの分泌物などに気づいて、乳がんの発見に繋がっています。
そのため、若年性乳がんには2cm以上の浸潤がんやリンパ節転移を伴うなど、若年でない乳がんに比べると病状が進んだ状態で診断されることが多くみられます。

セルフチェックが重要な理由とは?

上記の理由で、普段から自分の乳房を気にかけ、定期的に触れておくという自己触診(セルフチェック)の習慣はとても大切なことです。
誰でも簡単にできるセルフチェックは、ぜひ月に1回の習慣にしましょう。
血縁のある家族に乳がんの方がいる場合は、一般より早め(20代後半や30歳から)に乳腺エコーなど検診を受ける習慣をと、私達団体は声をかけています。

乳がんが与える社会的な影響

乳がんが与える社会的な影響

近い将来妊娠を望んでいたり、子育て中であったり、社会の一線で働いていたりするこの年代が、乳がんに倒れた場合の直接的な社会的損失は計り知れないものがあります。

また配偶者やこどもなどに対する精神的影響もより大きく、家族性のうつが増加するとも報告されています。
つまり乳がんはかかる人が多いうえ、さらに個人、家族、社会にもより大きな影響を与える病気なのです。

もし、検査で早期発見ならば治療の金銭的負担も減り、治療できる可能性も高くなります。
検診を定期的に行うことで不安も解消され、異常がなく健康であることを再認識できる機会だとも思います。
愛する家族や友人、仲間のためにも定期的に乳がん検診を受けましょう。